今回は『肉離れ』についてお話したいと思います。
《筋肉の損傷》
筋肉の損傷を程度により分類すると三段階に分けられます。
Ⅰ度
筋繊維の断裂は認められないが、筋肉の伸張により筋細胞の破壊がみられるもので、
運動の際に不快感や違和感、痛みがある。
Ⅱ度
筋肉の部分断裂のことを言い、一般的にはこの状態を肉離れと呼びます。
筋肉の収縮は可能ですが、腫脹(腫れ)や圧痛(指で押すと痛い)が見られ、痛みの為に筋肉に力を入れられないことがあります。
また、局所に陥凹(へこみ)を触知することもあります。
Ⅲ度
筋肉が完全に断裂した状態で、局所には陥凹が認められ、筋肉の収縮はみられません。
《肉離れの原因》
筋肉への負荷
瞬発力を要するスポーツなど、負荷が大きくかかるスポーツなどで起こりやすい。
筋力の不足
目的の運動に対する負荷が、自己の持つ筋力を上回る場合
筋力バランス
運動時には多くの筋肉が協力して働いている為、そのバランスが崩れた際には肉離れを起こすリスクが高まります。
筋肉の疲労と柔軟性の低下
筋肉が疲労すると柔軟性が低下するので、肉離れのリスクが高まります。
ウォーミングアップ不足
筋肉が運動の刺激に慣れていない状態で、大きな負荷がかかる事により、筋肉が負荷に耐え切れず、
肉離れが起こる場合があります。
寒さ
気温の低い時は身体も冷え、筋肉の動きも悪くなります。
その状態で大きな負荷がかかる事により、肉離れが起こる場合があります。
運動時のフォーム
運動時のフォームにより、局所に過度の負荷が加わり、肉離れが起こる場合があります。
(例:ランニング時に、下腿を過度に前方へ振り出す走り方により、肉離れを誘発する)
肉離れの症状
- 動作時痛
- 痛みが強く、痛めた筋肉に力が入らない
- 痛めた筋肉の圧痛 (指で押すと痛い)
- ストレッチ痛 (痛めた筋肉を伸ばそうとすると、抵抗や痛みがある)
- 腫脹 (腫れ、熱を持つ)
- 患部に陥凹(へこみ)を触れることもある
肉離れの応急処置
肉離れを起こした際には症状の悪化を防ぐ為、直ちに運動を中止し応急処置を行いましょう。
応急処置は、Rest、Ice、Compression、Elevation の頭文字を取った『RICE処置』を原則とし、
負傷直後に適切に行う事で、競技への復帰を早める事ができます。
R・・・REST(安静)
症状の悪化を防ぐため
I・・・ICE(アイシング)
患部を冷却する事で血管が収縮し、炎症や内出血を抑え、更には鎮痛作用もあります。
(患部を冷凍保存する事で症状の悪化を抑えるイメージ)
15分~20分を目安として40分~60分の間隔を空けて繰り返します。
ただし、シップ等ではアイシングにはなりませんので、氷嚢やビニールに入れた
氷などを使用しましょう。
C・・・COMPRESSION(圧迫)
適度な圧迫を患部に与える事で、腫れや炎症を抑制します。
E・・・ELEVATION(挙上)
患部を心臓より高い位置に挙上する事により、重力を利用し、腫れや炎症を抑制します。
※肉離れを疑う症状の時にはストレッチは絶対に行わないで下さい。
例えば、紙に切り込みを入れて左右に引っ張れば切り込みは深くなります。
筋肉も同じで、ストレッチを行う事で症状が悪化する可能性があります。
肉離れの治療
受傷直後は適切な応急処置を行い速やかに医療機関(接骨院、整形外科など)を受診する事をオススメします。
治療方法には受傷からの期間や程度により、電気治療、超音波治療、鍼治療、
マッサージ、固定、テーピングなど、状態に応じた方法があり、早期に適切な治療を行う事により、
競技復帰を早めることができます
ある程度運動が可能になると治ったものと誤解して大きな負荷をかけてしまい、肉離れを再発するケースを多く見かけます。
肉離れを起こした際は、完治するまでしっかりと治療を行い、段階を踏んで徐々に競技に復帰して行く事が大切です。
当院ではスポーツ外傷や交通事故による治療にもしっかりと対応致します。
スポーツによる怪我や交通事故による怪我でお困りの際は、当院へご相談ください。
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